入口 > 珍書屋 > 戦後の研究会

閑話究題 XX文学の館 珍書屋

戦後の研究会


同好の士を募って会を組織し、機関誌としての雑誌を発行するのは世の中には良くあることです。 雑誌のみならず、会の趣旨に合った資料や物が頒布されることもあります。これは軟派の世界でも同様です。 只、一般の会と異なるのは、往々にして頒布される資料が日の目を見ることの出来ないものである、と言う点にあります。 尤も、機関誌そのものが既に地下に潜っているものもあります。

今回は、それらの内、戦後の会員制特殊雑誌を発行していた組織から頒布された書籍、資料の類を判る範囲で取り上げました。 最初から非合法な出版を行っていた組織もあれば、途中から地下へ潜って行った組織もあります。 機関誌は硬めでも頒布資料は非合法と言った組織もあります。 また、各々の組織は主宰者同士がお互いの雑誌に執筆するなど人的な繋がりがあるため、各組織で頒布された資料が別の組織でも委託頒布されるなど事情はかなり複雑です。

この様に、それらのもたれ合いとも言える慣行も、機関誌や頒布資料が事件になる度に、他の組織に対する迷惑を考えてか徐々に廃れて行きます。 やがて、組織そのものが当局により潰されて行き、雑誌も廃刊、資料の頒布も無くなって行くことになります。 昭和二十五年十月に創刊号が発行されました【近世庶民文化】(近世庶民文化研究会、主宰岡田甫に始まったこれらの会員制の組織は、 昭和三十一年初頭には同会と未完江戸文学刊行会(主宰林美一日本生活心理学会(主宰高橋鐵の三巨頭が組織する会と、特殊な会としてのアドニス会が残るのみでした。

今回は発行元毎にまとめて展示しましたが、先に述べましたように他の組織の取次や共同製作(?)などもあり、元々の発行所が何処であるのか判らなくなっているものもあります。 非合法であるが故に最初から発行元が判然としないものもあります。 従って、出所不明のものに就いてはそれらをひとまとめにして別展示としました。 近世風俗研究会(主宰花咲一男は機関誌を発行していませんが、同会で頒布した資料は時期的にも内容でも重要と思われますので、敢えて同一の位置付けで展示しました。 また、各々の組織から雑誌を発刊する前に頒布していた書籍も参考のために一部展示しています。


◆ 近世庶民文化研究所
   ・「近世庶民文化」と「江戸紫」
◆ 芋小屋山房
◆ 東京限定版クラブ
◆ 未完江戸文学研究会
◆ 近世風俗研究会
◆ 日本生活心理学会 ⇒ 体験記録内の日本生活心理学会参照
◆ 生活文化資料研究会
◆ 造化研究会
◆ 出所不明

参考資料
書名著者発行発行日
瓦版(近世庶民文化会報)岡田 甫近世庶民文化研究所昭和25年10月 〜 昭和41年 3月
悩まざりし人ありや斎藤夜居太平書屋昭和55年 8月
限定秘版目録
生活資料文化研究会

入口 > 珍書屋 > 戦後の研究会